会話ばかりなので映像指定はなし。 輝く花を見たフリー達はその後、ディエムと共に近くの木の枝にいる花の見張りの鳥に会いにいった。
ディエム「紹介しよう。この場所の守備係りを務めているディアンだ」
フリー「どうも、初めまして」
頭を下げるフリー。
ロン「今日はどうでしたか?」
ディアン「維持無しだ」
カレン「明日も見張るの?」
ディアン「明日?何だそりゃ」
フリー「えっ…」
戸惑う3羽。
ロン「では昨日は…」
ディアン「昨日?何だそりゃ」
フリー「何て言えばいいんだ?」
ロン「その…そう、2回前の日の出から1回前の日没までのことですよ」
ディアン「2回?今日は1回しか日は昇ってないぞ?」
ロン「これは一体…」
ディエム「実はな、我々には今日以外の概念がないんだ」
言いにくそうに言うディエム。
フリー「本当にそんなことが…」
ディエム「信じられないかもしれないが、事実だ」
ロン「しかしディエム殿は…」
ディエム「前は私も知らなかった。君たちのような旅の鳥に教えてもらい、やっと知ることができた。まだ群れの他の鳥には理解してもらえてないが…」
ディアン「別にいいんだ。特に困ることはないからな」
ディエムはあきらめまじりではなく、あっさりと言った。
ロン「しかし未来や過去の概念がないと不便では…」
ディアン「ミライ?」
興味を持つディアン。
ディアン「カコはそうでもないが、ミライっていうのはいい響きだな。ミライとはどんなものなんだ」
ロン「えーと…ミライというのはこれからくる時のことでして…」
ディエム「おお、何となく分かった気がするぞ」
フリー「うーん…」
もっと上手く説明できないか考え込むフリーだが、思いつかない。5羽はしばらく沈黙…そんな中、再び雲が月を隠した。
ディアン「ディエム殿、そろそろ帰えられては?花の輝きが失せたことですし…」
ディエム「そうだな…」
4羽は森の中を飛び、ディエムの巣がある木に帰ってきた。ヒナはみんな夢の中だった。4羽はその1つ上の枝にとまった。
ロン「大変ですね…群れに過去や未来の概念を教えるのは…」
ディエム「いいんだ。伝わらなくても…」
フリー「えっ…」
ディエム「我らが生きていられるのは今だけ。その今が積み重なり過去になる。そして未来はいつか必ず今になる。つまり過去や未来という概念がなくても、とめどなく訪れる『今、この瞬間』を
必死に生きてさえいればいいんだ」
淡々というディエム。
ロン「我々の旅にもいえそうですね」
カレン「えっ」
ロン「『今、この瞬間』いる場所がつながって旅路になり、これから行く場所はいずれ『今、この瞬間』いる場所になる…」
カレン「そっか…あんまり先のことばかり考えても仕方ないかも…」
ロン「ええ、もっと今見えている世界に集中したほうがいいかもしれません」
フリー「オレはいつもそうだぞ?」
カレン「ええ、先のことを考えているようにはみえないわね…」
ロン「…」
夜はふけていく…
今回の話はYeLLOW Generationの「CARPE DIEM 〜今、この瞬間を生きる〜」という歌とそのモチーフになった過去形と未来形を知らない少数民族が基になっています。
早朝…
東の空が明るくなりはじめ、森は微かな光に照らされていた。昨日、フリー達が入った温泉にまたあの鹿がきた。周りを警戒しながら温泉に近づいていく。温泉の脇までくると、鹿は温泉水を飲もうと口を近づける。水面に口が付こうとした瞬間、鹿は顔を殴られたようにのけ反り、森の中へ走っていった。直後、温泉の中から断続的に泡が出はじめた。
朝…
太陽は完全に地平線を離れ、よく晴れた空に光が満ちていく。
フリー「うーん…」
目覚めかけるフリー達。その時、また地震が発生。森全体が震える。
フリー「朝か…」
揺れが続く中、普通に起きるフリー。
カレン「なに普通に起きてるのよ!」
ロン「またしても地震です!」
フリー「うわ〜」
フリーが騒ぐ。しかし直後に揺れはおさまった。
カレン「もう揺れてないわよ…」
羽をばたつかせまだ騒いでいるフリーにカレンはあきれながら言った。
フリー「あっ、本当だ…」ディエム「お〜い、大丈夫か?」
下の枝からがディエムが呼び掛けた。
ロン「ええ、大丈夫です」ディエム「さらに地震が増えてきているようだ。早く出発したらどうだ?」
フリー「確かに…地震は気持ち悪いし…」
ロン「ディエム殿は?」
ディエム「心配ない。私は慣れているからな」
フリー「じゃあ出発しようか」
カレン「待って!」
フリー「ん?どうしたんだ?」
カレン「またあの花を見にいきましょうよ」
ロン「そうですね。大変興味深い花でしたし…」
フリー「そうだな。最後に見にいくか」
昨日、3羽は花を見た場所に来た。昨日見たばかりなのだが…
フリー「あ…」
ロン「これは…」
カレン「きれい…」
また驚く3羽。
昨日は月の光を浴びて妖しく輝いていた花だが、今日は太陽に照らされ、鮮やかで眩しいほどの青い輝きを放っていた。
ロン「光が強くなると輝きも強くなるようですね…」
またしても見とれる3羽。
一方、昨日の夜にフリー達が入った温泉…ボコボコと激しく泡が立ち、沸騰していた。
映像指定は次回から復活します。
フリー「そろそろ行くか」カレン「そうね…残念だけど…」
ロン「では行きましょう!」
飛び立とうと空を見上げる3羽。とその時…!!
ドゴーーン!!ゴゴゴゴゴ…
巨大な爆発音が大地を震わせた。
フリー「何だ?!」
カレン「何が起きたの?!」ロン「わかりません!!とにかくただ事ではありません!!」
(映↑)話す2羽→揺れる森をフリー達目線で→話す2羽
3羽は慌てて飛び立った。空中でホバリングし、山を見てみると山頂から黒い噴煙が噴き出していた。噴煙は広がりながら空へと立ち昇り、山が目に入らなくなるほどの存在感、迫力、そして威圧感を放っていた。
フリー「山から黒い雲が噴き出しているぞ!」
ロン「なんて凄涼な…」
カレン「きゃっ?!」
カレンに小さな粒が当たった。
(映↑)3羽目線の噴煙→噴煙を近くから→話す3羽→カレンのアップ
フリー「どうしたんだ?」
カレン「今、何か当たって…」
フリー「えっ?!」
ロン「あっ?!」
フリーとロンにも何かが当たった。それは火山灰なのだが、3羽は知らなかった。何が当たったのか考える猶予を3羽に与えることもなく、火山灰は霧雨のように降り注いできた。視界は白くかすみ、3羽の体にも火山灰が付着していく。
フリー「何か降っているぞ!」
カレン「目を開けてられないわ!」
ロン「ひとまず森の中に退避しましょう!」
(映↑)火山灰の降る森や空をいろんな角度で
火山灰の雨の中、3羽は森の中へ急降下した。3羽は木の枝にとまり、葉に隠れた。
カレン「どうなっているのよ?!」
ロン「この砂状の物質はあの山から噴き出しているようですが…」
ゆっくり翼を動かし、火山灰を落としながら言うロン。
フリー「そんなことは分かって…うわっ!」
木の上のほうの枝が葉に積もった火山灰の重さでしなり、灰が落下。フリーの目の前を通って地面に落ちていった。
(映↑)急降下する3羽→カレン→ロン→フリー→上の枝→落ちる火山灰を正面から、奥にフリー
カレン「これからどうするの?」
ロン「しばらくここで待機し、降ってくる砂状の物質が減少したら出発しましょう」
カレン「そうね」
フリー「ここは安全だからな」
ガサッ!バキッ!メキメキメキ…バサッ
その時、直径1mほどの岩(火山弾)が隕石のごとく空から降ってきた。岩は3羽のいる隣りの木の葉を散らし、幹に直撃。そこから木はヘシ折れた。完全には切断されず、皮一枚でつながっていたが、木の重量で折れ曲がった皮がかえって生々しかった。
(映↑)火口から空へ飛ぶ岩→落下する岩をしたから→森に落ちる岩を上から→木に直撃シーン
固まる3羽。
フリー「こうなったら強行突破するしかないな…」
ロン「そうですね…ここにあんな岩が飛んできてもかわせません。木の下を低空飛行し、砂状の物質を避けながら逃げましょう」
カレン「でもこの森はどうなるの?!」
ロン「それは…」
バゴッ!バキバキバキ…
また近くから火山弾が木を折る音が聞こえた。
フリー「もうゆっくりしてられないぞ!」
ロン「そうだ、ディエム殿に会いにいきましょう」
(映↑)適当に切り替えて
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