フリー達は海上を飛び続けていた。海面は氷だらけ。その中に直径5mほどの氷の板が浮いていた。そこに動く何かがいた。
(映↑)フリー達を上から→フリー達を前斜め下から→氷の海を上から→スクロールして氷の上の白い小さな何か
ロン「あっ、あそこに何かいますよ」
フリー「本当だ!」
よく見ると3頭の真っ白なゴマフアザラシの子供が乗っていた。
(映↑)ロンとフリー→フリー達を見上げるアザラシをフリー達の目線で→フリー達を見上げるアザラシを背後から
カレン「あっ!、見て!あれ何か分からないけど、ものすごく可愛い!降りてみようよ!」
はしゃぐカレン。
フリー「大丈夫か?!食われんだろうな?!」
カレン「まさか!」
少し不安そうなフリーにカレンが笑いながら言った。
ロン「では、休憩も兼ねていってみましょうか」
カレン「うん!」
3羽はアザラシのいる氷に降りたった。
(映↑)フリーを入れたカレンのアップ→ロンとカレン
アザラシ1「うん?だーれ?」
カレン「近くで見ても可愛い!」
フリー「よかった…食われることはなさそうだな…」
アザラシ3「そんなわけないよ!ボク達はまだオッパイ飲んでいるんだよ!ねっ!お兄ちゃん!」
アザラシ2「そうそう!」
カレン「そっか、兄弟なんだ」
ロン「しかしそんな子供が、なぜこんな海の真ん中に?」
アザラシ1「遊んでたらねーいつの間にか流れてんだ」
アザラシ2「ボク達はまだあまり泳げないから、岸に戻れないし…」
アザラシ3「他の氷に飛び移ったりもしたんだけど、やっぱり戻れないんだよねー」
アザラシ1「この氷も小さくなってる気がするし、近くに島なかった?」
ロン「我々が夜を過ごした島が南にありますけど、ちょっと遠ですし…」
アザラシ2「そうなんだ…」
(映↑)話しているキャラを適当に切り替えて→アップにしすぎず背景に海が入るように
しばらくアザラシと話していた3羽だったが、氷が南へ流れていたため、長居せず、飛び立つことに。
(映↑)3羽と3頭を遠めから
カレン「じゃあ、私達そろそろ行かきゃいけないから…」
助けになれず、気まずそうなカレン。
アザラシ1「うん、ありがとう!旅のお話し聞けて、僕達も楽しかったよ!」
フリー「はぁ…」
ロン「…」
明るく返され、かえって落ち込む3羽。
(映↑)カレン→アザラシ1→フリーとロン→3羽
フリー「行こうか…カレン…」
カレン「うん…」
泣きそうになっているカレン。
アザラシ1・2・3「じゃあね〜」
(映↑)フリー→カレン→アザラシ3頭を正面から
北の空へ飛び立った3羽。見送っているアザラシ。そっちを見続けていた。カレンだったが、何かを決心したかのように前を向いた。
(映↑)飛び立つ3羽→見上げる3頭→小さくなっていく3頭→空の彼方に消えていく3羽
その頃、群れは大陸を北西に向って飛んでいた。眼下に広がるのは岩場の点在する大雪原。生物の気配は感じられない。
(映↑)群れを近くから→雪原を群れ目線で
クイック「なんだ…気味が悪いな…」
ピーター「まるで大地が死んでいるようですね…」
その時、風が吹いた。雪原に風の音だけが響く。普段なら聞くもののいない音…
クイック「大地が叫んでいるようだ…生物を欲しがって…」
(映↑)話す2羽を近くから→2羽を遠めから、風の音を強調して→雪原を群れ目線で→クイックのアップ→風の音に強弱をつけ、弱い時にクイックのセリフ
昼…
海上を飛ぶフリー達。さっきのアザラシのことが、気になってしかたない…
カレン「あの子達、大丈夫かしら…」
フリー「でもオレ達の力じゃ、持ち上げて運ぶことはできないし…」
ロン「はい…彼らの運と力に賭けるしかありません…」
フリー「ん?」
フリーが氷の上に何かを発見。
(映↑)飛ぶ3羽を上から→飛ぶ3羽を近くから→話しているキャラを切り替えて
カレン「えっ、何?」
フリー「ほら、あそこ」
ロン「あっ、氷の上で何か動いてますね」
近づいていく3羽。目を凝らして見ると、氷の板の上に頭の大人のアザラシがいた。
ロン「もしかして…」
フリー「さっきの…」
カレン「いきましょ!」
3羽はアザラシのいる氷へ降りていった。
(映↑)3羽を近くから→氷の上で動く何か→目を凝らす3羽→キョロキョロしているアザラシ→目の前に下りる3羽
アザラシ「なっ、何だ?!お前らは!!」
かなり驚くアザラシ。
ロン「あのー子供、捜してません?」
アザラシ「ぬわーに?!何故それを?!」
フリー「実は…かくかくしかじか…」
アザラシ「コクコクのフムフムというわけか…」
カレン「私達じゃ助けられなくて…」
アザラシ「まあいい、どうなっているか分かったからな」
ビキビキビキ…不気味な音が聞こえる…
アザラシ「やばい!氷が割るぞ」
3羽「えっ!」
(映↑)話しているキャラを切り替えて→音を聴き、下を見るアザラシ→驚く3羽
ビキビキビキ…氷全体にヒビが広がっていく。慌てて飛び立つ3羽。
次の瞬間、氷が割れ、水しぶきを上げ、アザラシは海へと消えた。
フリー「あーーー!!」
カレン「きゃぁぁーーー!!」
ロン「大丈夫ですか?!」
慌てる3羽。
アザラシ「大丈夫だが?」
アザラシは何事もなかったかのように浮かび上がってきた。
(映↑)下を見る3羽→飛び立つ3羽、画面は追わない→同時に氷が割れる→水柱→慌てる3羽→海面から顔を出すアザラシ
3羽「えっ!…」
あっけにとられる3羽。
アザラシ「オレが泳げないとでも思ったか?!」
ロン「いや…その…」
困るロン。
フリー「それより…これからは…」
アザラシ「決まっているだろ?泳いで迎えにいくよ」
カレン「うーん…それしかなそうね…」
ロン「はい…」
やっぱり助けになれず、浮かない表情の3羽。
アザラシ「じぁな!お前達も頑張れよ!」
そういうとアザラシは泳ぎ始めた。
再び北へ飛び始めた3羽。
(映↑)話しているキャラを切り替えて→泳ぎ出したアザラシを背中から→泳ぎ出したアザラシを正面から、背景に見つめる3羽
フリー「大丈夫かな…」
カレン「私達みたいに翼があれば…」
ロン「いや、我々も同じかもしれませんよ」
カレン「えっ?」
ロン「ほら、乗っていた氷が故郷の島、アザラシ達が群れ、海が空、だとすれば…」
カレン「そうか…私達も似たようなことになっているのかもね…」
フリー「ああ…空に消えないようにオレ達も気を付けないと…」
(映↑)フリーとカレン→ロンのアップ→氷→故郷の島→アザラシ→群れ→海→空→空を見上げるフリー→雲に覆われた空
フリー達をはじめ、生物は自分中心でしか世界を見られない。
もし、あの氷がこの世界そのものだとしたら…そこに全生命が乗っているとしたら…変革の時代を迎えた世界…氷のヒビは広がっているのか?、ふさがりつつあるのか?世界という決して出られない氷に乗っている命…その未来を知るものはいない…
(映↑)ここは映像指定無し。これだけの文章をそのまま画面に出すとうっとうしいですし、いきなりナレーションというのもねえ…
ホワデビの世界では自然の営みの結果、変革が進んでいます。しかし現実世界では全生命が乗った世界という氷に人間が積極的にヒビを入れています。人間も自分中心でしか世界を見られませんから。
以後、こんな感じで無関係に思えたホワデビの世界と現実世界がつながり始めます。
氷を避けながら泳ぐ親アザラシ。
アザラシ「おーい!いるかー!」
耳をすます…反応はない。
アザラシ「いないか…」
漂流する氷に遮られ、遠くまで見えない。
アザラシ「あー、うっとーしい!!俺にも翼があればなー」
イライラしつつ、色んな方向を見ながら、泳ぐアザラシ。すると氷に激突し、頭を打った。
アザラシ「痛ってーな!!よそ見流れしてんじゃねー」
ダメージを受けながらも、アザラシは南へ泳ぎ続けた。
(映↑)泳ぐ親アザラシを複数の角度で→立ち泳ぎしつつ、耳をすますアザラシをアップで→アザラシの目線で見た氷の海→横から氷がぶつかるところをアップで
南の海上…
そこには氷の板に乗ったアザラシの兄弟が。
アザラシ1「もう鳥こないねー」
アザラシ2「島もないねー」
アザラシ3「お腹すいたー」
アザラシ2「我慢しなきゃだめだよーえっ…」
アザラシ1「どうかしたー」
アザラシ2「いや…」
白い氷の間を黒いヒレが横切るのが見えた気がした…
(映↑)兄弟を遠目から→兄弟をアップで→氷の間に黒いヒレをチラッと(1秒以下)
飛び続けるフリー達。相変わらず眼下には白い氷と青い海が続く。しかし水平線からは白一色の世界が広がりはじめた。
フリー「んっ?あれは…」カレン「島じゃないかしら?」
ロン「ずいぶん広ろいですね。反対側が見えません。」
(映↑)3羽目線で海を→水平線から近づいてくる雪原
その頃、アザラシの兄弟を乗せた氷は謎の音に包まれていた。また氷の周りを3つの黒いヒレが回っていた。
キューイー…
キュウー…
キュルルー…
キュウー…
アザラシ1「なーに?この音にヒレ…」
アザラシ2「また何か来てくれたのかなー?」
アザラシ3「わーい!退屈だったからーあっ!」
3つの黒いヒレが1つずつ海中に消えた
(映↑)兄弟を真上から→3つのヒレが沈むところを順番にアップで
海面下から巨大なシャチがジャンプし、出現。アザラシの乗る氷に突っ込んできた。シャチはアザラシ1を飲み込み、溶けて薄くなっていた氷を突き破り、海中へ。同時に巨大な水柱を中心に氷の板が砕け散る!
アザラシ2「お兄ちゃーん!」
浮かび上がり、自分の体より少し大きな氷の塊にしがみついて叫んだ。
(映↑)氷の中心が画面の中心にくるようにシャチのジャンプを横から→画面はシャチを追わず、水柱とバラバラになる氷を映し出す→アザラシ2をアップで
その直後、別のシャチが氷ごとアザラシを飲み込んだ。
メキメキ!!
辺りにシャチが氷を噛み砕く音が響く。
モゴモゴ…
上手く泳げず、もがく末っ子アザラシ。その背後から開かれた大きな口が迫る!!
(映↑)氷ごとアザラシを飲み込むところを横から→海中で溺れるアザラシを正面から→背後から迫るシャチの目線→アザラシの背中にぶつかる寸前で画面を切り替え、飛んでいるフリー達を近くから
フリー「何だ…ここは…」
大陸に入ったフリー達。360度見渡しても見えるのは雪原のみ。海は完全に姿を消していた。
カレン「島…なの…?」
ロン「ここは…いったい…」
少し空に昇れば海に囲まれていることを確認できた島で育った3羽に大陸という概念は無かった。大陸という未知の世界、そこで3羽を待つものとは…
(映↑)下を見るフリーのアップ→雪原をフリー目線で→カレンとロン→雪原の彼方に消えていく3羽を後ろから(かなり遠め)
可哀そうですが、実際に氷に乗ったまま漂流しているアザラシは目撃されたことがあります。なので、これは現実世界で起きていてもおかしくありません。またアザラシがシャチに食べられると言うのは弱肉強食という自然の摂理(ルール)からすれば当然のことです。
自然に手加減させない、というのがホワデビの特徴であり、今回ももそれに基づいたものになっています。
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