昼過ぎ、群れは島で休憩中だった。木の枝の上にいるクイック。
隣にはキケロがいた。
(映↑)島の全景→森で休むメンバーを適当に→枝の上のクイックとキケロ
クイック「やはり波に揺られない島の上は落ちつきますね〜」
キケロ「そうじゃな、ちょっと一眠りするかな」
クイック「あっ、いいですね〜」
キケロ「Zzzzz…」
クイック「………」
あまりの寝つきのよさにしばらく固まるクイックだった。
そんなこんなで時は過ぎ、日が傾いてきた。
(映↑)2羽を切り替えて→真っ暗にして画面切り替え
進む群れ。360度、視界に映るのは海だけ。夕日を浴びてオレンジ色に輝いていた。ただその海はざわつくように揺らめきだしていた。同時に風が強くなっていく。
(映↑)飛ぶ群れを下から→群れの目線で白波の立つ海を
クイック「おや?妙な風が吹き始めたな…ん?!」
さらに一面のオレンジの輝きが消え、一気に辺りが暗くなった。はっ!とし、西の方を見るクイック。西の水平線からはドス黒い雲が湧き出し、空を黒々と塗り潰していた。慌てるクイックとピーター。
(映↑)文字通り
クイック「まずい!嵐になるぞ!!」
ピーター「どうします?!リーダー!!」
クイック「風の強い空中や波の高い海上では耐えられない。休憩
していた島に引き返すんだ!!」
ピーター「了解!!」
(映↑)2羽を切り替えて
群れはUターンし、南へ向かった。
(映↑)引き返す群れをいろんな角度から
オレンジの海の上を飛ぶフリー達嵐のことなど知るよしもない。
フリー「今日は海しか見てないな」
ロン「ええ、もしこんな時に嵐が来たら絶望的ですね」
カレン「そんなことあるわけないでしょ〜」
根拠も無く、笑いながら言うカレン。
(映↑)3羽を切り替えて
しかしそんなことはあった!!
群れは島に戻る前に嵐に遭遇!!暴風が群れを翻弄(ほんろう)し、海は荒れ狂っていた。
(映↑)嵐に飛行を乱される群れをいろんな角度で→荒れる波間から群れを見上げる感じで
ピーター「リーダー!この風の中、我々の力で飛び続けるのは無理があり過ぎます!!」
クイック「だが、海上へ降りたら死ぬぞ!!」
その時、1羽が海に向かって落ちていく。
クイック「グスタフ!!」
グスタフ「了解!!」
たまたま近くにいたグスタフは暴風をものともせず、思い通りに急降下。海に落ちる寸前に体で受け止める。
(映↑)話す2羽→回転しながら落下するメンバー→急降下するグスタフ→受け止めるところをアップで
グスタフ「背中につかまるんだ!!」
メンバー「しっ、死ぬかと思った…しっ、しかしよくこんなことが…」
グスタフ「オレは羽ばたきの力強さにも自信あるんでね!!しっかりつかまってろよ!!」
グスタフはそのまま上昇していった。クイックやピーター、飛行能力の高い他のメンバーも同じように救出にあたっていた。
(映↑)話す2羽→上昇するグスタフを遠めから→救出活動を切り替えて
だが、体力が尽きて海へ落ちていくメンバーは次から次に出てくる。クイックやピーターの体力も尽きてきた。風を突っ切れず、落下先に先回りできない。できても勢いを止めきれない。グスタフも暴風で体力を消耗し、救出が上手くいかなくなってきた。風に飛ばされる葉のごとく、海へ落ちていくメンバー。グスタフは先回りしようと追いかけるが、間に合わない。あっという間に波に飲まれて消えていく。あきらめて止まるグスタフ。
(映↑)落ちていくメンバーを切り替えて→クイックとピーター→急降下するグスタフ→海に落ちるメンバーをグスタフ目線で
グスタフ「もっと力があれば…くっ、くそぉぉぉーー!!!おわっ!!」
グスタフも風に流されそうになる。しかし何とか体勢を立て直す。だが、もはや自分が海に落ちないようにバランスをとることで、精一杯になっていた。クイックやピーターもメンバーを助ける余裕はもうない。落ちていくメンバー達。しかし誰も助けに向かうことはなかった。
(映↑)クイックのアップ→風に耐えるグスタフ→疲れ切ったクイックとピーター→落ちていくメンバー達→海に消えていくメンバー達を切り替えて→波に揉まれる抜け落ちた羽をアップで
この物語では命の大切さを描くと同時に無力さも描きます。この先、セリフにも出てきますが、”自然に容赦させない”というのがテーマの1つになっていますので。
夜…フリー達は海上で波に揺られていた。波が高く、体が激しく揺さぶられる。
(映↑)曇った夜空を下から→揺さぶられる3羽を遠めから
カレン「こっ、こんなんでねっ、寝られるわけなっ、ないでしょ!」
ロン「しっ、しかし島がなっ、ないのでしっ、しかたあっ、ありません!フリーはだっ、大丈夫ですか?!」
フリー「Zzzzz…」
ロン・カレン「…」
無言になり、固まる2羽。3羽の体は波で激しく揺れている。しかしこの瞬間、時間は止まったようだった。
(映↑)3羽のアップを切り替えて→3羽を遠めから
その頃、群れは何とか目指していた島にたどり着いた。
クイック「みんな!!木の幹に近いあまり揺れていない部分にとまるんだ!!もちろんなるべく太い枝を選ぶんだ!!」
メンバーは次々に木の葉の中へ入っていった。
(映↑)群れ目線で見た島→島側から見た群れ→クイックのアップ→降下する群れ→葉の中へ入る群れ→島の全景
朝…嵐は過ぎ去り、朝日が島を照らしていた。
(映↑)朝日→島の全景
クイック「ではメンバーの数を数える。間違い防止のため、ピーターも別ルートで数えてくれ」
ピーター「了解!!」
それぞれ別の木から数えていく2羽。
カウント中…
元の木に戻ってきた2羽。
クイック「私は444だった」
ピーター「こっちも444でした」
考えるクイック。
(映↑)話す2羽→群れのいる木々に向かう2羽
クイック「500で…初めから3羽いなくて…今、444だから…53?!あの嵐で53羽も失ったのか!!」
ピーター「はい…特に6才以上の高齢メンバーが多くやられたようです。みんな知恵者でしたのに…」
クイック「ああ…しかもみんな違った個性を持っていた。53羽を失ったとまとめるべきではい。かけがえのないたった一つの命が失われた、それが53回同時に起きたのだ」
ピーター「はい…自然は厳しいですね…」
キケロ「仕方あるまい…自然が容赦するわけないからの〜」
クイック「そうですね…」
クイック・ピーター「!!!」
驚く2羽。
ピーター「ぶっ、無事でしたかキケロ殿」
キケロ「うん?!まぁ…何とかな…」
(映↑)3羽を切り替えて
回想…荒れ狂う暴風。必死に耐えるメンバー達。
「ひーー!!キケロ殿!!こっ、この状態ではとっ、飛んでいっい、られません!!」
キケロ「ほ、ほ、ほ、ほ、そう堅いこと言いなさるな」
羽をバタつかせながら叫ぶメンバー。笑いながらなだめるキケロ。キケロは他のメンバーの背中におぶさり、難を逃れたのだった。(映↑)荒れ狂う風の中の群れ→メンバーのドアップ→引いてキケロを映す
クイックの「ああ…しかもみんな違った個性を持っていた。53羽を失ったとまとめるべきではい。かけがえのないたった一つの命が失われた、それが53回同時に起きたのだ」というセリフには元ネタがあります。分かった方はすごいかも?!
それから数日が過ぎた。この間、フリー達・群れともに何もなく、順調に旅を続けていた。飛び続ける群れ。目の前には水平線の彼方まで氷の浮かぶ海が広がっていた。もうすっかり見慣れた光景。しかし海に浮かぶ氷の量は故郷の島周辺に比べ、ずいぶん増えていた。
昼…
(映↑)画面に、数日経過、と表示→飛ぶ群れ→群れの海
ピーター「リーダー、そろそろ休憩にしては?」
「そうだな…魚も欲しくなってきたし…」
その時、海に氷以外の何かが浮かんでいるのが見えてきた。
(映↑)話す2羽→氷の狭間に浮かぶ何か
クイック「ん?何だあれは?」
ピーター「えっ?あっ!氷に混じって何か浮いていますね…」
クイック「休憩にするつもりだったんだ。ちょっと確かめてみるか…」
ピーター「了解。お〜い、みんな!!高度と速度を下げるぞ!
!」
高度を下げる群れ。速度を落とし、目標点に近づいていく。
クイック「うん?あれは…魚…か?!」
海面には何かに喰いちぎられたような魚が10匹ほど散らばっていた。魚は体の真ん中辺りでちぎれ、中には体長1mはあったとみられる魚もあった。氷の上に群れは着地していった。そして魚を観察してみる。
(映↑)話す2羽→高度を下げる群れを遠めから→降下する群れ目線で→海面の魚→着地する群れ
クイック「これは…いったい?食べ残しにしては妙だな…」
ピーター「そうですね…食べられるところが残りすぎのような…」
全く口をつけず、ひたすら怪しがる2羽。他のメンバーもただ見つめているだけだった。
グスタフ「あ〜〜〜もうだめだ!!我慢できん!!」
群れが静まりかえる中、グスタフががっつき始めた。それを見て他のメンバーも氷や魚の体の上からついばみ始めた。そんなメンバーを見回すクイック。
(映↑)話す2羽→魚と見つめる2羽→氷の上から魚をついばむグスタフのアップ→食べる他のメンバー→見回すクイック
クイック「考えていても仕方ないか…」
不思議がりながらクイックも食べだすが…。
?「キュウィィーー……」
クイック「何の音だ…」
クイックは食べるのを止め、周りを見渡す。しかし魚を食べるメンバーしか見えない…
(映↑)クイック→辺りの様子をクイック目線で
?「キュウィィーー……」
?2「キュイー…」
グスタフ「ん?何だ…」
グスタフも食べるのを止め、周りを見渡す。他のメンバーも食べるのを止めだす…
(映↑)グスタフ→辺りの様子をグスタフ目線で
?「キュイー……」
?2「キュウー……」
?3「キュルルー……」
謎の音がいろんな方向から聞こえてくる…
クイック「………」
自分の前の方の海中を目を凝らし、見つめるクイック。視線の先、海中に謎の黒い物体が揺らめいている…そしてその姿は徐々に大きくなっていく…
(映↑)氷の海をいろんな角度で→クイックのアップ→クイック目線で見た海中→揺らめきながら接近・浮上する黒い物体
クイック「まさか…」
黒い影がクイックまで10m以内に迫る…クイックが叫んだ。
クイック「これはワナだ!!!みんな飛び立て!!」
(映↑)クイック→迫る黒い影→群れに叫ぶクイック
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