朝…
粉雪が舞う中、燃えるような雲を従え、朝日が顔を出す。朝焼け…朝日に輝く粉雪…光の中、大雪原にたたずむ大樹…
嵐の夜は過ぎ去り、美しい朝が訪れていた。
(映↑)朝焼け→粉雪が舞う→雪原→朝焼けを背景に大樹
フリー「Zzzzz…」
枝の上で寝ているフリー。
バサッ
いきなり上から雪が落ちてきてフリーにかかった。
フリー「んぐ…」
また落ちてきた。
フリー「ふぎゃ…」
またまた落ちてきた。目覚めたフリー、体を震わせ雪をはらう。
(映↑)ひたすらフリーを映し続ける
フリー「何だ?!」
カレン「あっ、起きた?」
ロン「今、この木では雪かきが行なわれています。我々も手伝いましょう!」
フリー「えっ?!えっ?!」
状況が飲み込めないフリー。かまわず上へ飛んでいく2羽。
フリー「まっ、待っくれ〜」
(映↑)フリー→話す2羽→画面上へ消える2羽→フリー目線で見た2羽→追いかけるフリーを下から
フリーは慌て追い掛けた。多くの鳥が枝から雪を蹴り落としていた。その様子を見ながら、他の2羽とともにユグノのいる枝にとまった。そしてユグノから雪かきを行う理由を説明された。
カレン「そういうわけね」
ロン「そう考えるとすごいですね。雪の重量というのは」
フリー「んじゃやるか!」
理由を聞き、やる気になったフリー。
ユグノ「この辺り、木の上部は終わりつつある。だからこっちだ!」
(映↑)4羽を遠めから→話しているキャラを適当に切り替え
そういうとユグノは木の中間から下部にかけての枝に降りていった。直後、同じ枝にフリー達も降りてきた。
ユグノ「では群れを追わないといけないのに悪いが、やってもらうとするか」
3羽「はい!」
ユグノを手本に雪かきをする3羽。雪は凍結しておらず、フワフワしていたので、蹴ると簡単に落せた。
(映↑)降下する4羽、背景に雪かきをするほかの鳥たち
フリー「おー思ったより上手くいくな」
ロン「ええ、凍結前でよかったです」
カレン「?、あの子は…?」
フリー達のいる枝の斜め下、地上から3メートルくらいの高さにある太い枝に1羽の小さなメスがいた。
ユグノ「ああ、ウインクだ」
カレン「ウインク?」
ユグノ「あの子はな、前に両親を吹雪で亡くしたんだ。みんなで協力して兄弟は何とか飛べるようにしたんだが、ウインクはまだ飛べなくてな、それで落ちないよう、太い上、風も入らないここで最も安全なあの枝に移動させたんだ」
(映↑)雪かきをする4羽を切り替えて→ウインクを遠め→ユグノ→カレン→ウインク
木の上部の雪はほぼなくなり、中間〜下部に全ての鳥が集結し、雪かきを始めた。バサバサと大量の雪がウインクに降りかかる。雪まみれになるウインク。体に付いた雪を振り払い、雪かきを続ける。しかしまたすぐ、上から雪が落ちてくる。ウインクは振り払い、雪かきを続ける。、がまた雪が落ちてくる。周りに雪が積もっていく。
カレン「かわいそう…」
泣きそうなカレン。
ロン「手伝いにいったほうがいいのでは…」
ユグノ「心配ない」
3羽「?」
(映↑)木の上部から降りる鳥たち→雪かきをする鳥たち
自分の担当箇所を終えた鳥がウインクの周りに集まっていく。そしてウインクの体にかかっていたり、周りに積もった雪を落としだした。仲間に囲まれ、ウインクから笑顔がこぼれる。
フリー「へぇ…」
ロン「すごいですね…こういう協力関係は私の群れでは、あまりありませんでしたから…」
感心するフリーとロン。
ユグノ「我々は同じ木の下に生まれ、同じ木の下で死んでゆく家族だからな。全員で助け合うように指導したんだ。他のメンバーにあんな思いをさせたくないからな。」
ロン「何かあったのですか?」
ユグノ「ああ…」
(映↑)様々な場所の枝から飛び立つメンバー→メンバーに囲まれていくウインクを遠めから→笑うウインクのアップ→あとは適当に切り替えて
回想…
ユグノの親は5つのタマゴを産んだが、誕生したヒナはユグノと弟1羽の2羽だけだった。一緒にエサを食べたり、じゃれ合ったり、寝たり…平穏な日々が続いていた。
(映↑)5つのタマゴ→ふ化する2羽→適当に日常を
そんなある日…
両親は留守、ユグノは巣で葉の隙間から見える空を見上げていた。悲鳴のような鳴き声が聞こえ、振り返ると弟がいなくなっていた。慌てて巣のふちに行き、下を見る。すると雪の上に落ちてい
る弟の姿が目に飛び込んでいた。雪の上でもがく弟。幼く、雪の冷たさには耐えられない。もがく弟。まだ飛べず、見ていることしかできないユグノ。時々、2羽の間を大人の鳥が通過した。しかし
助けようとはしない。弱っていく弟、何もできないユグノ…
(映↑)空を見上げるユグノ→振り返るユグノ→巣のふちに行くユグノ→下を見るユグノを下から→雪の上に落ちているヒナ→下を見るユグノと雪の上のヒナを何回か交互に→飛び交う大人の鳥をユ
グノ目線で→下を見るユグノを下から
ユグノ「もうあんなことはあってはならない。だから私はリーダーになってから、ただ同じ木にいるだけ…そんな状態の鳥たちをを1つの家族と言ってもいいほどにまとめ上げたんだ」
フリー「大変だったんじゃ…」
ユグノ「いや、あまり苦労はしなかった。みんな、このままではだめだという思いを持っていた。思いを1つにするきっかけがなかっただけだったんだ」
カレン「ホント、よかった…」
涙ぐむカレン。
(映↑)適当に切り替えて
フリー「オレ達も行くか!」
ユグノとともに3羽はウインクの隣りに飛んでいった。
フリー「オレ達も手伝おうか?」
3羽はカレンを真ん中にしてウインクの近くに降りた。
ウインク「あなた達は…?」
ウインクは雪かきを中断し、フリー達の方を向いた。
(映↑)フリー→ウインク、その周りに着地する4羽
カレン「こっちがフリー、こっちがロン。私がカレンよ」
ウインク「えっ?…昨日来た群れの…?」
カレン「あれ?知ってたの?」
ユグノ「我々は出来る限り情報を共有するようにしているからな…」
「リーダー!こちらも…」
ユグノ「分かった!」
仲間から雪かきの応援を頼まれたユグノ。
ユグノ「ではウインクもがんばってくれ」
ウインク「はい…」
ユグノは別の枝の仲間を手伝いに飛んでいった。
(映↑)適当に切り替えて→ユグノを呼ぶメンバーをユグノ目線で→ユグノ→ウインク→飛んでいくユグノをフリー達の目線で
今回のタイトルはONE FOR ALL,ALL FOR ONEとしたいところでしたが、長すぎるので半分の”みんなは1人のために”という部分を使いました。この1人(羽)というのは群れの全ての鳥のことであり、ウインクしか指していないわけではありません。群れの中の1羽が困っていたらもれなく、全員で助けると言うことです。
ウインクと雪かきをする3羽。
カレン「上からあれだけ雪が落ちてくる中、雪かきするなんて大変じゃないの?」
ウインク「うん…でもリーダーが、何でも全員で協力し合うことが大事、って言ってたでしょ?」
カレン「それで?」
ウインク「私はみんなにエサもらったり、飛び方を教わったりしてるから…私も何かしなきゃ、助けられるだけになっちゃうから…」
カレン「えらいね、ウインクは」
照れるウインク。
(映↑)雪かきをする4羽を遠めから→話しているキャラを切り替えて→照れるウインクのアップ
一方、群れはメンバー数の確認をしていた。
クイック「10羽足りない?!」
ピーター「はい…おそらく昨日の吹雪で…」
クイック「旅の犠牲を減らすために早く旅を終えるべきだな…」
ピーター「では飛行速度を上げるのですか?」
クイック「ああ、昨日ももっと速く飛んでいれば吹雪がひどくなる前に避難できたかもしれない。それに高齢メンバーはユグノ殿に託してきたしな…」
ピーター「分かりました。群れのメンバーの意見を聞いてきましょう」
クイック「私も行こう!」
2羽は手分けして群れのメンバーの意見を聞き回りはじめた。
(映↑)岩場を低空で飛ぶ2羽を遠めから→話す2羽→また散っていく2羽
一方、大樹で雪かきをするフリー達とウインク。そんな中、ふとフリーが…
フリー「なんかウインク、ってウィークと似てるよな…」
ウインク「えっ…?」
思わず雪かきを止め、ウインクはフリーのほうを向いた。
ロン「そう言えばそうですね」
ウインク「その…どんな…」
カレン「ウィークは私達の故郷にいた子でね、あなたみたいに、まだ飛べないうちに親を嵐で亡くしたの。私達がエサをあげたり、飛び方を教えたり…」
ウインク「それでどうなったの…?」
カレン「自由に飛べるようになったのよ。だからウインクもがんばってみて」
ウインク「うん…」
フリー「そうだ!ちょっと飛んでみたら?」
ロン「そうですね。何かアドバイスできるかもしれません」
カレン「飛んでみる?」
(映↑)雪かきをする4羽を遠めから→フリー→ウインク→ウィークの回想を交えつつ、話しているキャラを切り替えて
ウインクはうなずき、羽ばたきはじめた。するとすぐに体が浮き上がった。
フリー「あ、浮いた!」
そのまんま真上に上昇していき、1つ上の枝付近までいった。
カレン「ねえ、ちょっと回ってみて」
旋回しようとするウインク。途端に階段を1段下りたようにガタッと高度が下がる。直後、またガタッと高度が下がる。直後、今度は逆方向に進んでしまった。つらそうなウインクを見て…
(映↑)ウインクを下から→ウインクをアップで→カレンのアップ
カレン「もういいわ、降りてきて」
するとウインクはホバリングを始めた。そしてスーとそのまま真下に下降し、着地した。
ロン「どうやら方向転換に難があるようですね」
カレン「私達とも練習してみない?」
うなずくウインク。
またウインクは真上に上昇し、旋回しようとする。回り始めたが、上がったり下がったり不安定なウインク。
(映↑)ウインクを横から→ロン→カレン→ウインクを追う
フリー「もっと羽ばたくんだ!」
カレン「高さを保って!」
ロン「もっと体を水平にしてください」
カレン「私、いっしょに飛ぶわ」
カレンは飛び立ち、ウインクに寄り添うのように飛んだ。
その後、しばらく特訓は続いた。
(映↑)3羽を上から→ウインクとカレン
続き
もどる
章名一覧へ
「この作品」が気に入ったらクリックして「ネット小説ランキングに投票する」を押し、投票してください。(週1回)