暗黒の宇宙で輝く太陽。その周りをまわる地球。今は氷河期でほぼ全域が凍結し、白い惑星になっていた。その地球のとある島。半径約1kmで中心には岩山があり、周りを森が囲んでいた。島の周りは海氷や氷山の浮かぶ海。その海の奥深くの海底では砂を被った白い層から泡が立ち昇っていた。島の岩山に開いた小さな穴の中には2羽の鳥…
↑(映)宇宙を背景に太陽を映す。水星と金星に画面を横切らせ、宇宙を背景に白い地球を真ん中に映す。そのままズームしていき、島を上空から見た映像→岩山の洞窟の入り口→内部の2羽、と映していく。
長老「ワシが生まれた頃、この島は今よりもっと寒かったのじゃ」
フリー「そうなんだ」
長老「今は島の周りにはあまり氷はないじゃろ?」
頷くフリー。
長老「しかし昔、島の近くは氷だらけじゃった」
頷くフリー。
長老「それだけならよい。じゃが氷が減っていることから分かるようにこの島は、どんどん暑くなってきておるような気がするんじゃ。」
頷くフリー。
長老「これはお前たちの未来にかかわってくるかもしれん。どう思うフリー?」
頷くフリー。
長老「今は頷くところではな…ん?」
フリー「Zzzzz」 いつの間にか寝ているフリー。
長老「話しの最中に寝るなー!!鳥パーンチ!!」
長老は翼でフリーを叩く
フリー「ハグッ!!寝てないって!!」
長老「では、ワシはどういうことを話した?」
フリー「海が怒っていたから、氷が融けて暑くなっているんでしょ?」
↑(映)フリーと長老のアップを切り替えていく。
長老が想像してみる… 海を覆う氷の上に怒った目や口、怒りの四つ角、浮かび上がった顔から湯気が噴き出し、氷が融けていく…
↑(映)文章通りの映像を。
長老「全然違うわー!!まったく…」
フリー「あっ、そうだ!そろそろウィークの所へ行かないと…」
長老「ウィーク?ああ、お前がロンやカレンと飛ぶ練習をさせているあの子のことか。」
フリー「うん、ウィークは親を両方とも嵐で亡くしたから。オレたちが教えてあげるんだ。」
長老「可哀そうじゃが、飛べなければ未来はないからな…」
フリー「だから、オレたちが未来に行けるようにするんだ!」
↑(映)画面を囲むように洞窟の壁や天井。画面中央を挟んで右にフリー、左に長老。2羽の背景には斜め上から見た森。
そういってフリーは岩山から飛び立ち、森の方へ降りていった。長老の頭に島の気温上昇が浮かんでいた…
長老(あの子たちには未来がある…これがいつまでも当たり前のことであればいいが…)
↑(映)フリーを見送る長老の背中を映す。
フリーが森の海岸近くにある大きな木に降りていく。その太めの枝の上、そこにはフリーと同じくらいの大きさの2羽の鳥と一回り小さな1羽の鳥が。
↑(映)森の中に降りていくところを上空から。
フリー「どうなってる?練習は?」
カレン「じゃあウィーク、もう一回飛んでみて?」
ウィークが約3m上の枝を目指し、飛び立つ。必死に羽ばたくウィーク。空中で上がったり下がったりしながら少しずつ枝に近づいていく。
↑(映)ウィークをアップにしたり、下から見上げたり。
カレン「がんばって!!」
フリー「ウィーク!!」
しかしウィークは枝まであと少しというところで止まり、下降していく。そして結局、また同じ枝の上に。
ロン「ウーン…理論的にはもう自由に飛べるはずなんだけど…」
カレン「やっぱり、本当の親が教えた方がいいみたいね…」
ロン「しかし我々で何とかしないと…」
ウィーク「ボク、飛べるようになるのかな…」自信がなさそうなウィーク。
フリー「ダメダメ。もっと自信持たないと!!飛べるようになるには、自分は飛べると信じなきゃ…」
カレン「そうよ。エサを取れるようになる、飛べるようになる、誰かと夫婦になる、ゴールはたくさんあるけどスタートは”信じること”の一つだけよ」
ウィーク「うん、ボク信じてみる!!」
ロンが葉の間から空を見てみるとオレンジ色になりつつあった。
ロン「そろそろ帰りますか。」
カレン「そうね…」
フリー「じゃあまた明日!!」
↑(映)適当に各キャラをアップにしたり、4羽全てを映したり。3羽は飛び立ち、岩山の方へ飛んでいった。3羽を見送るとウィークは下の枝に目を向けた。そこにではイモムシが葉を食べていた。
次の日からもウィークの特訓は続いた。ある日、3m上の枝に到達。喜ぶ3羽、照れるウィーク。またある日、今度は同じ高さの10mくらい離れた木の枝を目指して飛ぶ。途中、落ちかけるが3羽に支えられ持ちなおす。帰りはフラフラながらも一羽で元の枝までウィークは飛びきる。いつものように3羽を見送るウィーク。下の枝に目をやる。そこにはいつものイモムシが。ある程度、飛べるようになっていたウィークは下の枝に降りてみる。そして羽でイモムシをつついてみる。イモムシは迷惑そうに顔を背ける。しばらく観察するとウィークは飛び立ち、また上の枝へと戻っていく。が足を滑らし落ちかける。心配そうに見上げるイモムシ。
↑(映)練習シーンの回想→夕暮れの中、見送るウィーク→あとは適当に。
その夜…
静かな島。鳥や虫の声は聞こえず、波の音だけが響いていた。突然、草がざわめきだし、木からは葉が舞い落ちる。鳥たちが騒ぎ出す中、震度4くらいの地震が発生。島全体が大きく揺れる。長老の住む岩山も揺れる。島の沖合いの海底斜面にあるメタンハイドレート層には一筋の亀裂が入り、そこから泡が激しく吹き出す。
↑(映)真横(海抜0)から見た島の全景→島の海岸→揺れる森を内部から→斜め上から見た揺れる森、飛び出す鳥をシルエットで映す→大きく揺れる島の全景→長老の洞窟→枝の上のフリー達。
長老「Zzzzz…ン!!し、島が揺れておる!!」
カレン「きゃっ、わっ、何?何?」
ロン「地震ですよ!!これは!!」
フリー「Zzzzz、そんなに食えるかよ…バカ…」
カレン「寝てる場合じゃないわよフリー!!」
フリー「Zzzzz…!!地震だぞ!!これは!!」
カレン「知ってるわよ…」
森では枝の上で寝ていたウィークが目を覚ます。下の枝ではイモムシが枝から落ちかけていた。その枝に向かって飛んで降りていくウィーク。イモムシが枝から落ちる。直後、ウィークが口で受け止め、元の枝へ戻す。不思議そうにウィークを見上げるイモムシ。
↑(映)ウィークの動きを追う→見上げるイモムシ
夜が明けた。しかしやってきたのは今までに感じたことの無いような暑い朝だった。長老が朝日を見つめていると、そこにフリーたちがやってきた。
フリー「長老!!夜の揺れ、大丈夫でした!?」
長老「ああ、大丈夫じゃ。それより急げ!!ついにお前たちの仲間が北へ旅立つようじゃ。」
フリー「えっ?!」
長老「知らなかったのか?最近この島は暑くなってきておるじゃろ?今朝も今までにないような暑さじゃ」
ロン「ええ、確かに昔より海を覆う氷の面積が暫減傾向にありますし…」
長老「そこでお前たちの群れは前々からこの島に離れ、北に旅立ってはどうかと話し合っていたのじゃが…」
カレン「きっとウィークにかかりきりで気付かなかったんだわ」
フリー「それにしても教えに来てくれったって良かったのに…あっ…そういえば昨日、群れのリーダーが言いに来てたかも…」
カレン「えっ!?何で黙ってたの!?」
フリー「黙ってたんじゃない!!忘れていたんだ!!」
ロン「そんなことを力説されても…」
フリー「今までに獲ったことがないようなデカい魚が獲れて、どうやって食べようか途方に暮れてたときにリーダーが来たから…」
カレン「…とにかく、群れに戻らないと…」
ロン「待ってください、その前にウィークにこの風雲急を告げる事態の詳細を説明しにいかないと…」
カレン「そうね。飛ぶ練習も途中なんだし…」
フリー「よし!ウィークのところに行って、それから旅立とう!!」
ロン「では長老、どうかお元気で」
カレン「絶対この島のことは忘れないから」
長老「ああ、お前たちも達者でな!」
飛び立っていく3羽。静かに見送る長老。
↑(映)適当にキャラのアップを切り替えながら→森に降りていく3羽→見送る長老を背中から。
長老(もうお前たちがここに戻ってくることは二度とない。つまりこれは永遠の別れじゃ。もっと感涙もののドラマチックな別れにできのかのう…)
↑(映)長老のアップ。
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