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宇宙の果て


そもそも果てはあるのか?
宇宙には果てはあるのか?これは一般人でも思いつく疑問です。実際には有限で果てがないと言われています。(ただし無限の可能性もあり)これだけ聞いて理解しろ、というのは無理があります。しかしこの考えは地球と同じで、遠い世界の話しではありません。。地球の大きさは半径6378km、地上を1周すれば4万km、と有限であり、無限ではありません。しかし地上を進み続ければまた元の場所に戻ってきます。また進み始めてもまたた元の場所に戻って、ここから先は地球ではないという境界には永遠に着きません。地球のように宇宙も無限に広がっているというわけではありません。しかし地球同様進み続ければまた元の場所に戻ってきます。(ただし宇宙の膨張速度を圧倒する速度でなければダメですが。)


ハッブル半径

エドウィン・ハッブルは遠くにある銀河が地球から遠ざかっていること、遠くの銀河ほど後退速度が速いことから宇宙は膨張しているという結論に達しました。
現在は地球からの距離と後退速度の関係は

後退速度(km/s)=地球からの距離(メガパーセク)×ハッブル定数

という式で表されます。メガパーセクは326万光年、ハッブル定数は諸説ありますが、現在約70.1となっています。
宇宙の膨張はよく風船に例えられます。そこで宇宙を風船、天体をアリとします。風船が膨らんでいくと、たとえアリが立ち止まっていたとしても、個々のアリは引き離されていきます。するとその中の1匹は、他のアリ全てが自分から遠ざかっているように見えます。あるアリから見て2匹のアリが10と20の距離に立ち止まっているとします。風船が2倍に膨張すると各アリまでの距離は20と40になります。同じ時間で近い方アリは10、遠い方のアリは20後退したことになります。ということは遠い方のアリは近い方のアリの2倍の速度で遠ざかったことになります。遠い方ほど後退速度が速くなるということです。上記の式でも代入する距離の値が2倍になれば、後退速度も2倍になります。
式の後退速度に光速の30万を代入し、距離を計算すると139.5億光年で後退速度が光速と同じになります。この後退速度が光速になる距離はどの方位でも同じなので、地球を取り囲む球となります。この後退速度が光速になる範囲をハッブル半径といいます。そこより外側では後退速度が超光速になります。 基本的には超光速で地球から遠ざかっている領域の天体から出た光は地球に届きません。つまり見えないということです。といっても実際には宇宙の膨張が71億年前まで減速していたこともあり、超光速ゾーンの天体から出た光でも亜光速ゾーンまで来れれば地球に届きます。なので地球から超光速で遠ざかっている天体も発見されています。超光速で後退するというのは相対性理論に反しているように思えます。しかし超光速で運動できないというのは静止した空間に対する物体のことで、空間自体の膨張で引き離される速度は超光速でもかまいません。風船の例でいくと、アリは風船表面を超光速で歩けませんが、風船自体の膨張で引き離される速度は超光速でかまわないのです。
ちなみに宇宙の膨張速度は一定ではありません。誕生から減速し続け、71億年前からは加速しています。


宇宙の地平線
有限で果てがないとはいっても人類が観測できる宇宙には果てがあります。これは宇宙の地平線と呼ばれます。宇宙の地平線は光が亜光速で膨張している領域まで出て来られるか来られないかの境界線で、ハッブル半径の外にあります。ハッブル半径=宇宙の地平線ではないということです。
宇宙の地平線は将来、現在の姿を観測できるようになるという宇宙の果てでもあります。 宇宙の地平線までなら今、この瞬間に天体から出た光が地球に届くからです。何億年後になるかは知りませんが。
ただし今、宇宙の晴れ上がりより過去の宇宙は観測不能です。当時の宇宙はビッグバンの余熱で原子内部にあるべき電子が自由に飛び回っていたので、光が電子に邪魔され出てこれないからです。なので光など電磁波で観測できるのは宇宙の地平線内部から晴れ上がり以前の宇宙を除いた世界です。晴れ上がり以前の宇宙を観測するには重力波(遠方の巨大な重力が生み出した時空の歪みが、地震が生み出した地面の揺れのように伝わってきたもの)を捕らえる必要があります。
ところで宇宙の地平線ギリギリにある天体が発見されたとします。その天体から出た光が地球に届くまでの間に地球とその天体の間にある空間は膨張しています。また発信源の天体は地球から遠ざかり続けています。というわけで本当にその天体がある場所は、地球に着いた光を放った時は"光速×かかった年数"より遥かに近く、現在はそれより遥かに遠くなっています。つまり見えないだけで宇宙の地平線より先にも宇宙は続いているわけです。


粒子的地平面
宇宙の地平線のさらに遥か彼方、地球から420億〜470億光年(諸説あり)彼方には粒子的地平面というもう一つの境界があります。何とこの境界は光速の3.5倍という速度で膨張しています。粒子的地平面は現時点で地球から光で観測可能な過去の宇宙の限界点の現在地です。そこにあるのは宇宙背景放射の発信源(地球から観測可能な最古の光の発信源)です。晴れ上がった瞬間、この発信源は後に地球が生まれた所から4000万光年離れた所にありました。しかし地球へ向かっている間に宇宙が1000倍以上に膨張した上、当時は膨張速度が光速の数十倍だったために、進まなければならない距離が伸び、137億年かかってやっと届きました。その137億年の旅の出発点が現在の粒子的地平面というわけです。
まとめると宇宙背景放射は今、地球がある所から4000万光年の場所から発せられました。しかし宇宙の膨張で地球までの距離が伸び続け、137億年間も宇宙を旅して地球に着きました。その137億年間の旅の間に出発点は宇宙の膨張で地球から離れていき、137億光年先に見えます。ここが宇宙の地平です。しかし実際は発信源は420億〜470億光年先にあります。そこを粒子的地平面と呼ぶわけです。粒子的地平面と宇宙の地平線の中間部分は光がまだ届いていないか天体の後退速度が光速以上のため、観測不能になっている領域と言えます。
もちろん粒子的地平面も本当の宇宙の果てではありません。宇宙背景放射が放たれた時、すでに宇宙は38万年膨張しています。さらにインフレーションという途方もない急膨張もありました。というわけで粒子的地平面の向こうにはさらに想像不能くらいまだ宇宙が続いています。


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