宇宙船地球号の航海


地球の自転
地球は自転しています。一緒に人類も周っています。(東京付近で秒速約380m)

地球の公転
地球は太陽の周りを公転しています。(秒速約14.9km)

太陽の固有運動
太陽は太陽系の全天体を引き連れてウサギ座の足元方向からヘルクレス座オミクロン星方向へ秒速約20kmで移動しています。(1日に172.8万km)

太陽の公転
太陽は太陽系の全天体を引き連れて、銀河系中心部の周りを約2億年の周期で周っています。{はくちょう座方向へ秒速約220km(1日に1901万km)}また、5200万光年の周期で上下運動もしています。(秒速約2.6km)したがって、波線を描くように動いています。

おとめ座銀河団
銀河系が所属している局部銀河群は局部超銀河団の中心メンバーであるおとめ座銀河団に秒速200kmで引き寄せられています。


グレート・アトラクター
局部銀河群が所属している局部超銀河団はグレート・アトラクターという巨大重力源に秒速600km(1日に5184万km)で引き寄せられています。

宇宙
上記の天体がある宇宙自体の人類が観測できる果ては秒速30万kmで膨張中。

まとめ
このように地球には壮大な宇宙の階層構造の一部であり、その構成天体の重力を受けています。人類はその重力に引かれた宇宙船地球号に乗り、過酷な宇宙空間を旅しています。その人類は地球号の中で、限りある水を汚したり、森林という酸素発生装置を破壊し、代わりに船内に二酸化炭素などの排気ガスを充満させたりして、人類以外の乗組員を絶滅させています。さらにオゾン層というバリアに穴を空けたり、乗組員同士で殺し合いをしていたりします…

上記の運動の実感が無いのはなぜ?!
このような猛スピードの運動を感じないのはスケールが大きすぎるからです。走っている列車に乗って窓の外を見ているとすぐ近くの建物は次から次に視界に入っては外れてを繰り返します。しかし遠くの雲や山はすぐには視界から外れません。この落書きを見てください。初めに正面にある目標物を見て、そのまま底辺上を左から右に移動したとします。この場合、矢印の角度は移動後に目標物を見るために動かす必要のある首の角度です。超適当に見ると上が60度ぐらい、下が45度ぐらいです。目標物が遠くにある方が動かす必要のある首の角度は小さくなっています。角度が小さいということは動いてないように見えるということです。

迷子にならないのはなぜ?!

地球が自転や公転をしていれば人間などが、太陽が固有運動をしたり銀河系中心部を周回していれば太陽系の惑星などが、銀河系が猛スピードで動いていれば、太陽系が置き去りにされそうな気がします。
まず1つ目について。これは地球が自転や公転をしていれば塔の上から落とされた物は落下中に地面が動くことで、真下から大きくはずれた所に落ちるはずだという地動説への反論と同じようなことです。これに対し、ガリレオは一定速度で動いている舟に乗った人が物を下に落とせばきちんと足元に落ちるのと同じことだと考えました。また一定速度で動いている舟の上で物を落としても地面の上で落としても落とした人にとっては同じこととも考えました。
舟ではなく、電車を使って考えてみます。時速50kmで走っている電車の中で何か物を落としても時速50kmでどこへ飛んで行ったりはしません。立ち止まって外から電車を見ている人に対しては電車も乗客も持ち物も、目には見えませんが空気もとにかく電車内部の全てのものが時速50kmで動いています。するとそれらの間での相対速度はゼロになります。これによって電車の中で物を落としても地面の上で落としても落とした人にとっては同じことになります。しかし窓の外に手を出せば、風圧を感じられます。これは地面に立っている時に吹いた時速50kmの風と同じです。また紙など風に流されやすい物(風に乗らないものだと重力ですぐ落ちる)を落とせば後方に吹っ飛んでいきます。これは外の空気やその他全てのものが静止していて、電車とは50kmの速度差(相対速度)があるからです。
宇宙船地球号は東京で秒速380mで自転しつつ、秒速約14.9kmで公転してもいます。しかし地球上の全てのものが地球と共に自転や公転しているため、地球内では電車内のように相対速度はゼロになっています。なので物を落とそうが、ヘリコプターでホバリングしようが関係ありません。あとは宇宙船地球号が、宇宙船太陽系号、宇宙船太陽系号が宇宙船銀河系号の中を飛んでいるというように考えればいいです。各宇宙船内部では電車の中の物のように宇宙船自体の動きで、惑星や太陽系が迷子になることはありません。そして宇宙はあまりに広大なため、窓の景色(夜空)の変化では宇宙船地球号が公転で動いていることしか実感できません。


宇宙の天体の運動は全て相対的なもの
上記の運動は全て相対的なものであり、絶対的なものではありません。宇宙にある天体は重力で全て動いています。例えばアンドロメダ銀河は銀河系に秒速約300kmで接近しています。しかし銀河系も動いているので、アンドロメダ銀河の本当の速度は分かりません。
ホームに停まっている電車に乗ります。窓を見ると窓一杯に隣の電車が見えているとします。その電車が窓の中で動き出した場合、動き出したのは自分の乗っている電車か窓の外の電車か分からないことがあります。この場合、逆側の窓からホームが見えていれば答えを知ることができます。ホームが動いていれば自分の乗っている電車、止まったままなら隣の電車が動き出したことになります。すると次に自分の乗っている電車が動いているならホーム、隣の電車が動いているなら隣の電車の動きから動き出した電車の速度を知ることができます。一方、宇宙では、恒星、銀河、銀河群、銀河団、全ての天体が動いています。そのため、ホームの代わりになる天体はありません。よって絶対的な天体の運動は分かりません。


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